裁量労働制について
1. 制度の基本 #
みなすのは「労働時間の算出」のみ。
労基法41条2号の管理監督者とは異なり、労働時間規制そのものが外れるわけではない。
2. 休日・深夜の割り増し賃金は免除されない #
専門業務型裁量労働制はあくまで1日の時間を一定時間にみなす制度。
深夜割増賃金や休日の定めは除外されない。
つまり、休日に出勤した場合は別途休日出勤手当の支給が必要で、法廷休日でも所定休日でも考え方は通常の労働者と同じ。
割増率は、法廷休日なら35%以上、深夜(22:00 ~ 翌5:00)なら25%以上。
3. 休日はみなし時間の対象外 #
みなし労働時間が適用されるのは所定労働日のみ。
休日はそもそも労働日ではないので、休日に働いた分は実労働時間で計算する。
裁量労働だから休日対応も込みという理屈は成り立たない。
4. 対象業務の定義 #
参考:
MGLW Japan
https://jsite.mhlw.go.jp/fukui-roudoukyoku/content/contents/001661796.pdf
「情報処理システムの分析又は設計の業務」とは、(i) ニーズの把握・業務分析等に基づく最適な業務処理方法の決定およびその方法に適合する機種の選定、(ii) 入出力設計・処理手順の設計等のアプリケーションシステム設計、機械構成の細部の決定、ソフトウェアの決定、(iii) システム稼働後のシステムの評価、問題点の発見、その解決のための改善、を指します。プログラムの設計または作成を行うプログラマーは含まれません。(昭和63年3月14日基発第150号該当性の評価はグレー。原因分析と設計改善は対象となる一方、ジョブの再実行やスクレイパーの修正といった実装作業は分析・設計とはいいにくい。
ここは、実態がさまざまであり、ユースケースが混在するのでひとくくりに対象業務として問題ない。
5. 裁量性の要件 #
業務の性質上その遂行方法を大幅に労働者の裁量にゆだねることができないにも関わらず、遂行の手段、および、時間配分の決定等に関し具体的な指示をしないことを労使協定で定めても、専門業務型の適用によるみなし労働時間の効果は生じない。
障害の発生タイミングを自分で選べず休日の即時対応を求められる状態は、時間配分の裁量が実質的にないと評価される余地がある。
ただし、これは制度自体の有効性を争う主張になるため、影響範囲が大きい論点。
6. 2024年4月の改正 #
専門業務型でも、適用に当たって本人の同意が必要になった。
同意の撤回手続きの整備、健康・福祉確保措置、苦情処理措置も要件。
労使協定を締結しなおしているかは確認ポイント。
7. 備考 #
いつ適用されるか #
適用単位は時間ではなく日。所定労働時間のみではなく、所定労働日に対して1日分のみなし時間が適用される。
つまり、就業日に働いたとして2h働いても10h働いても8時間として算出される。
| 状況 | 労働時間の扱い | 追加で発生する賃金 |
|---|---|---|
| 所定労働日に3h | 8hとみなす | なし |
| 所定労働日に10h | 8hとみなす | なし |
| 所定労働日の23:00まで | 8hとみなす | 22:00以降は実時間 * 25% |
| 法定休日に2h | 実時間で計算 | 2h * 1.35 |
| 所定休日に2h | 実時間で計算 | 週40h超えるなら2h * 1.25 |
| 欠勤・年休 | みなし適用なし | なし |
一言で言うなら
裁量労働制は「勤務時間のカウント方法の取り決め」であって、「働かせ放題の許可証ではない」
誤解されがちな点
裁量労働制 = 残業代ゼロだが、正しくは平日の労働時間の長短が賃金に反映されないだけ。管理職は休日割り増しも対象外だが、裁量労働制は違う。免除されるのは時間のカウントで、休日と深夜のwリマ市は普通の社員とまったく同じ。
ポイント #
- 休日はそもそも所定労働日ではないので、みなしが働かない。
- 深夜割増は時間帯に対するもので、みなしとは別枠に発生する。
- 所定休日の労働は原則すべて時間外になりやすい。